今宵がときだ。
何か予感めいたものは絶えずあった。
鍛錬で疲れていても夜は人々の寝息で眠れず、昼はその気配を感じるだけで心は休まらなかった。
出される食事も、決して満足出来る量では無い。だが、ありつけるだけでましと言わざるを得なかった。
同じものが明日もあるのだとは限らないのだ。
その日は久々に牛の肉があった。
だがそれも一瞬のことであった。
運ばれた膳から数分で食物は消え…残ったのは、ぎり、と歯噛みするような空腹感だけだ。
…耐えられない。
今宵がときだ、そう体中が言っていた。
肌が粟立つようなその感覚を、人は運命とでも言うのかもしれない。
今でなくて、この先いつときがあるというのか。
だが、昼には動けまい。
見張りの者も多くいる。すぐに連れ戻されてしまうだろう。
…まず、夜更けを待った。
その夜は一睡も出来なかった。
胸が、これからの戦いに大きく早鐘を打っている。
身動きもせず、暗闇が降りてくるのをひたすら待った。
やがて人々が寝静まる丑三つ時、寝台から滑り降りると誰も居ない廊下を駆け抜けた。
途中で関所を用心深く抜ける。…有り難いことに見張りは居なかった。
徘徊している見張りも居ない。
いける、と確信し昇降機に滑り込む。
明るい場所は、これからの事を考えると落ち着かなかった。
やがてチン、と音を立てて昇降機が止まる。
ここを抜ければ娑婆の空気が吸える。そう確信した時だった。
女が立っていた。
白い衣に身を包み、不審げにこちらを見ている。
「どこへ行かれるのですか」
終わった。そう思った。
車椅子を押し、部屋へと戻される。
…こうして自分の初の脱走劇は幕を閉じたのである。』
え?なにがどうしたかって?(´・ω・`)
単に、余りにも肉が食べたいので…
書いてみただけψ(;ω;)ψ
…まだ、脱走してないよ!!w
焼き肉タベタィ;Д;
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